なにかが見えてくる
おじさんの戯言 (たわごと)
相性?

相性といっても人間の相性ではない。機械と機械の間にも相性というものがあるらしい。特に、電子機器というのはその点繊細に反応するものらしい。おじさんもそれを実際に経験した一人である。

おじさんは数年前新しいノートパソコンを買った。おじさんが生まれて初めて買ったコンパックのプレサリオ2274がスペック的に時代から取り残されてしまった感があり(スペックは「おじさんもIT」を参照)、またおじさんもわがままな最先端技術様の扱いにも少しは慣れてきたので、この辺でさらに最新の先端技術様とも付き合っておこうと思ったのである。

hpcompaqのnx9110という機種だが、価格とスペックが魅力で、5種類のメモリーカードに対応したメモリーカードリーダが本体に組み込まれているのもよかった。しかしだ、このメモリーカードリーダがくせものだった。購入した時点では、おじさんはそんなことなど知る由もなかった。

当時おじさんはデジカメで撮った家族の写真を整理するため、外付けのメモリーカードリーダをその都度パソコンに繋いで、それにカードを挿して、ファイルを読み込んでいた。以前からのフィルムを使ったカメラと違って、デジカメを使うようになって、撮ったその場で写真を確認でき、写りが悪ければすぐに消して撮り直すことができる。便利になったものだ。さらにファイルをパソコンに読み込んで、写真の整理や編集も簡単にできる。プリントした写真が山のように増え、整理の苦手なおじさんの頭を悩ましていた頃とは随分変わったものだ。いくら便利になっても、更なる便利さを求めたくなるのが人の常で、おじさんはメモリーカードリーダが初めから本体に内蔵されている(今では珍しくはないが、当時はまだ他の機種にはなかったと思う)nx9110に魅力を感じたのだ。

おじさんは喜び勇んで、デジカメから今はなきスマートメディア(今ではxDピクチャーカードに取って代わられてしまった)を抜き取り、早速パソコン本体のメモリーカードリーダに挿し込んだ。ファイルは順調にパソコンに読み込まれた。と思いきや、その直後全く予期せぬ出来事が起こったのである。おじさんが喜んだのもつかの間、パソコンに読み込んだファイルはすべて壊れていて全く開けない。それだけにとどまらず、スマートメディア自体も壊れてしまい、デジカメでもパソコンでも中のファイルが認識されず、再フォーマットも不可で、メディア自体全く使用できなくなってしまった。おじさんのショックというや、ことばで言い表すことができないほどで、ただただ途方にくれるだけであった。壊れたメディアはまた買えばいいが、消えてしまった写真は取り返すことができない。何たることか。家族の大事な写真である。おじさんの気持ちは治まろう筈がない。

早速パソコンメーカーにクレームをつけた。ファイルにとどまらず、メディア自体が壊れてしまうとは、メモリーカードリーダがおかしいに違いない。おじさんはそう思ったのだ。何が起こったのかを細かく説明して、修理に出した。またまたしかしだ、戻ってきたパソコンに添えられていた修理報告書を見て、愕然とした。クレームのような症状が再現できなかったし、カードリーダも検査したが故障が認められないので、修理はしていない、という内容であった。もちろんおじさんが納得するわけがない。もう一度クレームをつけたところ、何度も同じ状況を再現してみたが、ファイルが壊れ、メディア自体も壊れるという症状が現れなかったので、申し訳ないが、相性の問題と言うしかない、ということであった。相性? おじさんの持っているメディアとカードリーダの相性が悪いということらしい。人と人の相性が良い悪いというのはよくあることだが、機械同士の相性が悪いためにメディアが壊れてしまったというのは、おじさんの頭ではどうも理解できない。機械なんてどれも規格どおりに作っているのではないのか。どのメーカーが作っても同じ規格のものができるのではないのか。先端技術様というのは、やはりおじさんの頭ではとうてい理解できない。

それでも、一つ考えられるのは、昔のいわゆる「機械」とは違って、もっとスマートに「電子機器」なんて呼び方をする今の先端技術様は、より人間に近い知能を持つようになり、さらには相性という気持ちに関わる部分においてまで人間に近づこうとしているのかもしれない。昔の機械では考えられなかったが、今の先端技術様というのは、我々の知らないうちに、平然と人間の領域を侵そうとしているのかもしれない...... ここまで考えて、おじさんの頭は混乱し、訳が分からなくなってしまった。やはりおじさんはおじさんである。
(2008)


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